# プロジェクトタイプマスタ設定

# 機能概要

OBPMで管理するプロジェクトには、プロジェクトごとにプロジェクトタイプを1つ指定します。
プロジェクトタイプは仕掛品から原価計上する際の制御及び自動仕訳のコントロールを実施しています。
OBPMでは全てのプロジェクトが1度仕掛計上され、検収時には仕掛から原価へ振替計上されます。
仕掛計上は全てのプロジェクトが原価項目ごとに同一の仕訳内容で計上されますが、原価への振替時にはプロジェクトタイプごとに仕訳計上内容を変えることができます。
(例:完成原価/仕掛品、研究開発費/仕掛品、管理費/仕掛品など)
また、従来の完成基準(検収基準)だけでなく、工事進行基準、原価回収基準も扱うことができます。
想定されるプロジェクトタイプは予めサンプルとして設定されていますが、運用に合わせ随時更新することが可能です。
プロジェクトタイプマスタは、システム単位に登録します。そのため、システム全体へ反映されます。

# 想定されるプロジェクトの種類とその設定について

想定されるプロジェクトタイプとその設定例(サンプル)について説明します。
(分かり易く例を取り上げて説明しますが、運用により、管理方法が異なる場合があります)

表1.1(例)業務想定されるプロジェクトタイプについて

想定されるプロジェクトの基準 略名 概要
一括請負プロジェクト(完成基準) 一括プロジェクト(検収) 一括請負契約のプロジェクトへタイプ設定します。検収区分(一括、分割、月ごと)が選択でき、検収時に完成原価へ計上します。
一括請負プロジェクト(進行基準) 一括プロジェクト(進行) 一括請負契約のプロジェクトへタイプ設定します。検収区分(一括、分割、月ごと)が選択でき、発生原価は毎月完成原価へ計上します。
工数請負プロジェクト 工数プロジェクト 工数請負契約のプロジェクトへタイプ設定します。検収区分は月ごとになり、毎月計上した工数を元に売上金額と原価金額を計算して計上します。
社内請負プロジェクト 社内プロジェクト 社内請負契約のプロジェクトへタイプ設定します。最初に社内委託契約を実施して、その後社内委託契約に紐付けて社内請負契約処理を実施する必要があります。これにより社内仕入と社内売上の計上が可能です。
保守プロジェクト 保守プロジェクト 製品・システム保守契約のプロジェクトへタイプ設定します。検収区分は月ごとになり発生原価は毎月完成原価へ計上します。
営業支援プロジェクト 営支プロジェクト 営業活動の原価を管理するプロジェクトへタイプ設定します。発生した原価を毎月原価計上します。(通常は販管費として計上します)
研究開発プロジェクト 研開プロジェクト 自社製品の開発や研究開発の企画・設計などを管理するプロジェクトへタイプ設定します。発生した原価を毎月原価計上します。
資産計上プロジェクト 資計プロジェクト パッケージ開発等を管理するプロジェクトへタイプ設定します。発生した原価は毎月仕掛計上し、検収時点で資産計上します。
部門共通費 共通プロジェクト 部門ミーティングなどの部門共通作業費や賃借料、光熱費などの原価を管理するプロジェクトへタイプ設定します。計上原価は部門配下のプロジェクトへ毎月配賦処理されます。

表1.2(例)業務想定されるプロジェクトタイプとプロジェクトタイプマスタの設定方法

想定されるプロジェクトの種類(略名) 販管費 部門共通費 計上区分 社内委託 工数入力対象者 稼働率計算
一括プロジェクト(検収)、工数プロジェクト 配賦先 配賦先 完成基準 - メンバ 計算対象
一括プロジェクト(進行) 配賦先 配賦先 進行基準 - メンバ 計算対象
社内プロジェクト 配賦先 配賦先 完成基準 社内委託 メンバ 計算対象
営支プロジェクト、研開プロジェクト、資計プロジェクト なし 配賦先 完成基準 - メンバ 計算対象外
共通プロジェクト 配賦先 配賦元 なし - 部門配下 計算対象外

重要 [部門共通費]-「配賦元」について

部門共通費として管理する場合、「配賦元」と選択します。
「配賦元」と選択すると、[計上区分]-「なし」、[社内受託]-「-」と自動設定され、変更できません。
これは、 部門共通費など配賦元プロジェクトの費用(コスト)については、最終的に請負プロジェクトなど配賦先プロジェクトへ(コスト)配賦され、プロジェクト費用として直接計上しないため、このような仕様となっています。

重要 [社内受託]-「社内受託」について

社内部門へ、委託しているプロジェクトについては、「社内受託」を選択することにより、社内受託プロジェクトとして管理ができます。
「社内受託」を選択すると、[計上区分]-「完成基準」と自動設定され、変更できません。
これは、OBPMでは、社内受託プロジェクトは、発注元プロジェクトの完成基準に合わせる仕様になっているためです。

注意 [計上区分]-「なし」について

[部門共通費]-「配賦元」の場合のみ、[計上区分]-「なし」が自動設定されます。
通常(それ以外)は、「進行基準」「完成基準」「原価回収基準」が選択可能です。理由は、前述の通りです。

用例 [工数入力対象者]-[部門配下]について

[工数入力対象者]に「メンバ」を選択することで、プロジェクトへ参加するメンバのみ作業工数を入力することができます。また、「部門配下」とすることで、指定した部門配下の社員が作業工数を入力することができます。
共通費(間接費)など、部門やプロジェクトで費用(コスト)管理する場合、使い分けます。
※委託先アカウントについては本設定は影響しません。委託先アカウントが工数入力する場合はメンバ登録が必要です。

参考 [稼働率計算]について

[稼働率計算]は他の項目やプロジェクト登録の有無による制御は行わず、常に自由に変更可能な項目です。 これは、 会社ごとの運用や稼働率分析を行うタイミング等により、どのようなプロジェクトタイプを稼働率計算の対象とするかは変動するため、このような仕様となっています。
([稼働率計算]は分析レポートの【稼働率推移】への表示データの抽出時に使用しており、変更しても原価配賦済みの金額等に影響を与えることはありません)

[稼働率計算対象]はOBPMバージョン3.5.0より追加の項目です。それ以前のバージョンからのアップグレードの際には、以下の基準で初期値を設定します。

  • [販管費]-「なし」、または[部門共通費]-「配布元」、または[部門共通費]-「なし」
    ……計算対象外(チェックボックスOFF)
  • それ以外
    ……計算対象(チェックボックスON)

参考 [労務費原価差額]について

部門別実際原価データ取込を使用する場合、該当部門の所属アカウント労務費合計と取り込んだ金額の差額を配賦します。[労務費原価差額]を「配賦先」に設定することで、この差額配賦の対象となります。[部門共通費]が「配賦元」の場合、[労務費原価差額]は「なし」に自動設定され、変更できません。

参考 [共通費配賦方法]について

共通費を配賦する方法に「部門配下へ配賦」と「稼働プロジェクトへ配賦」があります。
「部門配下へ配賦」する場合、発生した共通費は発生元部門を主管部門とするプロジェクトへ配賦されます。配賦金額はプロジェクトの実績工数の割合に応じて決まります。(工数入力するアカウントの部門は問いません)
「稼働プロジェクトへ配賦」する場合、発生した共通費は、発生元部門に所属するアカウントがメンバとして登録されているプロジェクトへ配賦されます。配賦金額は所属アカウントが各プロジェクトへ入力した実績工数の割合に応じて決まります。発生元部門に所属するアカウントがいない場合、発生元部門の部門配下に所属するアカウントがメンバとして登録されているプロジェクトへ配賦されます。

参考 [有休]について

有給休暇を工数で管理する場合に使用します。有休工数管理プロジェクトのプロジェクトタイプにチェックをつけます。
勤務時間が0時間で、有休の管理工数が0時間でない場合、【工数入力】でその日の勤怠・工数に差異が発生してしまいます。このチェックをつけることで、該当プロジェクトタイプが設定されているプロジェクトの工数は【工数入力】での差異計算に含まれなくなり、有休工数分の差異が発生しなくなります。

# 【プロジェクトタイプマスタ設定】

遷移方法:
【メインメニュー】プロジェクトタイプマスタ設定⇒【プロジェクトタイプマスタ設定】

項目名 方法 属性 桁数 必須 概要
行追加 クリック - - - 『共通操作』ドキュメントを参照してください。
行削除 クリック - - - プロジェクトタイプが他の画面で一度も使用されていない場合に限り、削除することができます。
詳しくは『共通操作』ドキュメントを参照してください。
上移動 クリック - - - 『共通操作』ドキュメントを参照してください。
下移動 クリック - - - 『共通操作』ドキュメントを参照してください。
プロジェクトタイプ 入力 全て 20 プロジェクトタイプ名称を入力します。
販管費 選択 - - 該当プロジェクトに対し、販管費を配賦するか、しないかを選択します。
・配賦先・・・販管費を配賦します。
・なし・・・販管費を配賦しません。
部門共通費 選択 - - 該当プロジェクトを部門共通費の配布先とするか、配賦元とするか、どちらでもないかを選択します。
・配賦先・・・部門共通費を配賦します。
・配賦元・・・部門共通費の配賦元になります。
・なし・・・部門共通費を配賦しません。
労務費原価差額 選択 - - 該当プロジェクトに労務費原価差額の配賦先とするか、配賦しないかを選択します。
・配賦先・・・労務費原価差額を配賦します。
・なし・・・労務費原価差額を配賦しません。
共通費配賦方法 選択 - - 共通費の配賦方法を選択します。
・稼働プロジェクトへ配賦・・・共通費が発生した部門に所属するアカウントがメンバとして登録されているプロジェクトに配賦します。共通費が発生した部門に所属するアカウントがいない場合、共通費が発生した部門の部門配下に所属するアカウントがメンバとして登録されているプロジェクトに配賦します。
・部門配下へ配賦・・・共通費が発生した部門を主管部門とするプロジェクトに配賦します。
計上区分 選択 - - 売上もしくは費用の計上方法(タイミング)を選択します。
・完成基準・・・プロジェクトの検収条件に従い、計上します。
・進行基準・・・プロジェクトの検収条件にかかわらず、毎月、計上します。
・原価回収基準・・・プロジェクトの検収条件にかかわらず、毎月、計上します。
・なし・・・売上、費用の計上を行いません。
社内委託 選択 - - 社内受託プロジェクトであるかどうかを選択します。
・社内受託・・・社内受託プロジェクトであることを示します。
・・・社内受託プロジェクト以外を示します。
工数入力対象者 選択 - - プロジェクトの工数入力対象者を選択します。
・メンバ・・・プロジェクトメンバ登録した担当者が当該プロジェクトへ工数入力できます。
・部門配下・・・プロジェクト主管部門配下のメンバは当該プロジェクトの工数入力ができます。
要注意 選択 - - 【自社マスタ設定】で設定可能な要注意プロジェクト情報のアラートパターンを指定します。「なし」を選択すると要注意プロジェクト情報のアラート対象外になります。
稼働率計算 選択 - - プロジェクトに入力された工数を【稼働率推移】で表示する、稼働工数とみなすかどうかを指定します。
(詳細は、『分析レポート』ドキュメントを参照してください)
無効 選択 - - × 一度使用したプロジェクトタイプは削除することはできません。
ただし、[無効]にチェックを入れることで、プロジェクトタイプを無効にすることができます。
無効にすると、新規プロジェクト登録の際、プロジェクトタイプとして選択することができなくなります。
また、既に使用中のプロジェクトタイプについては、無効とすることができません。
有休 選択 - - 【工数入力】の差異を計算する際に工数を含めるかどうかを設定します。
更新 クリック - - - 『共通操作』ドキュメントを参照してください。
キャンセル クリック - - - 『共通操作』ドキュメントを参照してください。

注意プロジェクトタイプの自動設定について

下記設定を行うと、自動的に他項目が設定されます。
これらは、組合せ条件を自由に変更することはできません。

  1. [部門共通費]が「配賦元」の場合
    共通費プロジェクトタイプを登録する際、[部門共通費]-「配賦元」と設定すると、
    [労務費原価差額]-「なし」、[共通費配賦方法]-「部門配下へ配賦」、[計上区分]-「なし」、[社内受託]-「-」が自動設定されます。
    また、[労務費原価差額]、[計上区分]、[社内受託]は、ReadOnlyの設定となり変更できません。
    [部門共通費]をクリアするか、「配賦元」以外を選択すると、[労務費原価差額]-「なし」、[共通費配賦方法]-「-」(初期値)、[計上区分]-「完成基準」(初期値)、[社内受託]-「-」(初期値)が自動設定され、変更可能となります。
  2. [社内受託]が「社内受託」の場合
    社内受託プロジェクトを登録する際、[社内受託]-「社内受託」と設定すると、
    [計上区分]-「完成基準」が自動設定されます。
    また、[計上区分]は、ReadOnlyの設定となり変更できません。
    [社内受託]をクリアするか、「社内受託」以外を選択すると、[計上区分]-「完成基準」(初期値)が自動設定され、変更可能となります。

注意プロジェクトタイプの変更について

使用中のプロジェクトタイプは、「工数入力対象者」「要注意」「稼働率計算」「有休」の設定のみ変更可能です。
下図のように設定変更不可となっているのは、該当プロジェクトタイプが使用中のためです。

更新後、即時反映されます。運用開始後の変更については、ご注意ください。