# 原価・物販項目設定

# 機能概要

原価項目は、OBPMで管理する製造原価の最小単位です。また、物販項目では、プロジェクトに係わる物販の収支をとらえるため、物販売上、物販仕入を管理します。「自動仕訳を使用する※」場合には、原価・物販項目と勘定科目コードを1対1に対応させて登録します。(※【自社マスタ設定】にて「自動仕訳を使用する」に設定します)
本機能では、「原価・物販項目」ごとに仕訳(勘定科目)情報を入力します。
原価項目は5つ(労務費、外注費、材料費、固定経費、変動経費)、物販項目は2つ(物販売上、物販仕入)の「原価・物販分類」にグループ分けして管理します。
また、販管費を標準原価から算出せず外部取込により算出する場合、こちらの機能で取込時の科目を設定します。(共通費については、原価・物販項目の設定はできません)
OBPMは経費システムや購買システムで計上した経費や材料費を原価として管理するため、経理システムから仕訳データを取り込む機能をサポートしています。同様に、販売システムで計上した物販分の売上や仕入についても、経理システムから仕訳データとして取り込むことができます。
この機能を利用するためには、取り込む勘定科目コードを「原価・物販項目」へ関連付けする必要があります。

# 分類(原価・物販分類)と項目(原価・物販項目)について

いくつかの「原価・物販項目」はシステム導入時に自動で登録されます。これらの「原価・物販項目」については内容の修正はできますが、削除することはできません。その他の「原価・物販項目」はシステム導入時に運用にあわせて追加します。

表1.1 OBPMで管理する原価・物販分類

原価・物販分類 概要 導入時に登録される原価・物販項目 その他原価・物販項目例
労務費 社員の労働により発生する原価です。 ・賃金手当
・残業単価
・労務費差額配賦
・退職給付費用
・法定福利費
・福利厚生費
・賞与引当金繰入など
外注費 製造を外部の会社へ委託した場合の原価を管理します。 ・一括外注加工費
・工数外注加工費
・派遣外注加工費
・社内仕入
・社内仕掛品※1
※原価項目の追加・削除はできません。
材料費 製造で使用した材料を原価として管理します。 なし ・コンピュータ
・消耗品費など
固定経費 通勤手当や賃借料など毎月の変動が少ない原価を管理します。 なし ・減価償却費
・賃借料など
変動経費 小口交通費や交際費など毎月の変動が大きい原価を管理します。 なし ・会議費
・水道光熱費など
販管費 販売費及び一般管理費のデータ取込時科目を管理します。 ・社員販管費
・一括委託販管費
・工数委託販管費
・販売費
・一般管理費
物販売上 物販分の売上を管理します。 なし ・売上※2
物販仕入 物販分の仕入(売上原価)を管理します。 なし ・仕入
・繰越商品
・月初商品棚卸高
・商品仕入高
・月末商品棚卸高※2

※1:「社内仕掛品」は、【自社マスタ設定】の[仕訳方法]を「三分法」に設定している場合のみ表示されます。

表1.2 OBPMで管理する原価・物販分類の内、当機能では使用しないもの

原価・物販分類 概要
部門共通費 ・プロジェクトに直課する費用ではなく、部門管理費用を表します。
・【原価配賦処理】にて部門の各プロジェクトに費用が配賦されます。
・システムで固有に管理するため、登録する必要はありません。

# 物販項目の設定例

※2:物販項目の設定例は次のようになります。

# 在庫管理を行わない商品の場合

在庫管理を行わない商品の物販は、売上と仕入の計上時期は同一年月になるため、売上原価を仕入勘定でとらえることができます。この場合、以下の設定を行います。

原価・物販分類 原価・物販項目 原価・物販データ取込 説明
物販仕入 仕入 仕入(物販) 物販分の仕入です。
物販売上 売上 売上(物販) 物販分の売上です。
# 在庫管理を行う商品の場合
  • 売上と同時に売上原価を計上する場合(分記法)
    在庫管理を行う商品の物販であっても、売上と同時に売上原価を計上している場合、売上原価は売上原価勘定でとらえることができます。この場合、以下の設定を行います。
原価・物販分類 原価・物販項目 原価・物販データ取込 説明
物販仕入 売上原価 売上原価(物販) 物販分の売上原価です。
物販売上 売上 売上(物販) 物販分の売上です。
  • 売上と同時に売上原価を計上しない場合(三分法)
    在庫管理を行う商品の物販について、売上と同時に売上原価を計上していない場合、月末時の商品棚卸をもとに売上原価を計算する必要があります。売上原価は「(月初)繰越商品+(月中)仕入-(月末)繰越商品」、または、「月初商品棚卸高+商品仕入高-月末商品棚卸高」で求めることができます。この場合、以下の設定を行います。
原価・物販分類 原価・物販項目 原価・物販データ取込 説明
物販仕入 仕入 商品仕入高 物販分の仕入です。借方に発生した金額を加算します。※3
物販仕入 月初商品棚卸高 月初商品棚卸高 前月の月末商品棚卸高を当月へ繰り越します。借方に発生した金額を加算します。※3
物販仕入 月末商品棚卸高 月末商品棚卸高 当月末時点の棚卸金額です。貸方に発生した金額を減算します。※3
物販売上 売上 売上(物販) 物販分の売上です。貸方に発生した金額を加算します。※4

※3:物販仕入の集計は、借方金額を加算し、貸方金額を減算します。
※4:物販売上の集計は、貸方金額を加算し、借方金額を減算します。

上記のいずれの場合でも、計上先プロジェクトが不明確な物販取引は、OBPMで管理することはできません。

# 「労務費」、「固定経費」について

「労務費」と「固定経費」は【社員ランク別標準原価設定】で設定された標準原価で管理します。
「固定経費」については【経費データ入力】を利用することにより実際原価での管理も可能です。
「労務費」は標準原価で仕掛計上(仕訳例:仕掛品/標準賃金手当)及び原価計上(仕訳例:完成原価/仕掛品)されるため、実労務費(仕訳例:賃金手当/未払金)との差額を経理処理にて調整する必要があります。(例:賃金手当と標準賃金手当との差額を調整)
(原価計上のしくみについては【プロジェクトタイプマスタ設定】と【原価計上設定】を参照)
また、管理部門及び営業部門の労務費をOBPMで管理(販管費の労務費)することで、製造原価の労務費と販管費の労務費の割合が管理でき、標準原価の労務費と実労務費との差額調整処理が実施し易くなる場合があります。

図1.1 労務費・固定経費について

重要「固定経費」の[仕訳対象外]について

「固定経費」の「原価・物販項目」は[仕訳対象外]を選択することができます。[仕訳対象外]を選択した「原価・物販項目」は【原価見積/実行予算】でのみ使用され、【原価配賦処理】での計上項目として使用されなくなります。この場合、代わりの「原価・物販項目」を「変動経費」として登録し、実際の「経費」を共通費プロジェクトの費用として経費伝票に登録することにより、部門共通費として各部門のプロジェクトに配賦することができます。
また、[仕訳対象外]を選択した「原価・物販項目」は [借方科目コード]、[貸方科目コード]、[原価・物販データ取込有り]、[原価データ取込科目コード]の入力はできなくなります。

選択した「原価・物販項目」は見積作成時のみ使用されます。
部門共通費として配賦する場合は、別途「変動経費」の原価・物販項目を登録します。

選択した「原価・物販項目」は入力できません。
入力している内容がクリアされます。

ヒント 労務費差額配賦について

【データ取込】から「部門別実際原価データ取込」を使用する場合、該当部門に所属する自社アカウントの労務費合計と取り込んだ部門の実際原価の差額を処理します。この差額に対する科目が「労務費差額配賦」となります。労務費差額配賦は【社員ランク別標準原価設定】に表示されません。

# 「外注費」について

「外注費」を計上するには、【委託先契約登録】にて委託先との契約を登録します。契約の種類(契約形態)として「一括委託・工数委託・派遣・社内委託」が用意されており、それぞれの「契約形態」ごとに「原価・物販項目」が設定されています。システム導入時に自動で登録され、追加・削除はできません。
詳細は「委託先契約管理」を参照してください。

図1.2 外注費について

# 「材料費、変動経費」について

「材料費」と「変動経費」を計上するには、【経費データ入力】でプロジェクトに対して実際に掛かった費用を登録します。[取込有り]を選択した「原価・物販項目」は【汎用データ取込】にて外部システムで作成された「仕訳データ」等から一括で取り込み、伝票を作成することができます。

図1.3 材料費・変動経費について

# 「販管費」について

「販管費」の計上を【社員ランク別標準原価設定】の標準原価から算出するのではなく、プロジェクト別の実際原価から算出する場合、取込する項目とその連携コードを入力します。
【データ取込】の[実績:販管費配賦データ取込]よりプロジェクト別の販管費配賦データを取り込むことができます。

図1.4 販管費について

# 「物販売上、物販仕入」について

「物販売上」と「物販仕入」を計上するには、【物販データ入力】でプロジェクトに計上した物販の売上と仕入を登録します。[取込有り]を選択した「原価・物販項目」は【汎用データ取込】にて外部システムで作成された「仕訳データ」等から一括で取り込み、伝票を作成することができます。
「物販仕入」と「物販売上」の伝票は計上してもプロジェクトの原価や売上には含まれません。したがって、借方科目、貸方科目を設定しません。
「物販売上」、「物販仕入」の計上金額は【プロジェクト別採算管理】にて参照することができます。

図1.5 物販売上・物販仕入について

# 勘定科目の入力について

入力する各勘定科目は【各種マスタ設定】にて予め登録しておく必要があります。

図1.6.1 各種マスタ設定について

科目を入力する際に、「・・・」ボタンをクリックすると【科目参照】が表示され、登録済の科目コードから選択して入力することができます。

図1.6.2 各種マスタ設定について

# 画面説明

# 【物販項目設定】

遷移方法:
【メインメニュー】原価・物販項目設定⇒【原価・物販項目設定】

項目名 方法 属性 桁数 必須 概要
原価・物販項目 選択 - - 表示する原価・物販分類を選択します。
原価・物販項目:コード 表示 - - - 入力した原価・物販項目のコードを表示します。
原価・物販項目:名称 入力 全て 10 原価・物販項目の名称を入力します。
借方:コード 入力 英数のみ 20 × 仕訳作成時の借方科目コードを入力します。※1
借方:名称 表示 - - - 入力した[借方科目コード]の名称が表示されます。
貸方:コード 入力 英数のみ 20 × 仕訳作成時の貸方科目コードを入力します。※1
貸方:名称 表示 - - - 入力した[貸方科目コード]の名称が表示されます。
原価・物販データ取込:取込有 選択 - - × 【汎用データ取込】にて経費・物販伝票作成対象の原価・物販項目とする場合は選択します。
原価・物販データ取込:コード 入力 英数のみ 20 × [原価・物販データ取込:取込有]を選択している行のみ入力可能かつ「必須」となります。
【汎用データ取込】にて取込む際に「原価・物販項目」と関連付けする科目コードを入力します。
原価・物販データ取込:名称 表示 - - - 入力した[原価・物販データ取込:コード]の名称が表示されます。
原価・物販データ取込:財務会計 選択 - - × ITテンプレート導入時のみ表示されます。
チェックをONにすると【ERP連携設定】「仕訳データ取込」やJOBなどで財務会計仕訳を取り込む場合に
チェックONになっている科目コードのみを連携対象する事が出来ます。
「原価・物販データ取込:取込有」チェックON⇒OFFの場合、値をクリアし読取専用とします。
「原価・物販データ取込:取込有」チェックONの場合必須となります。
原価・物販データ取込:管理会計 選択 - - × ITテンプレート導入時のみ表示されます。
チェックをONにすると【ERP連携設定】「仕訳データ取込」やJOBなどで管理会計仕訳を取り込む場合に
チェックONになっている科目コードのみを連携対象する事が出来ます。
「原価・物販データ取込:取込有」チェックON⇒OFFの場合、値をクリアし読取専用とします。
「原価・物販データ取込:取込有」チェックONの場合必須となります。
仕訳対象外 選択 - - × [原価分類]が「固定経費」の場合のみ列が表示されます。
更新 クリック - - - 『共通操作』ドキュメントを参照してください。
キャンセル クリック - - - 『共通操作』ドキュメントを参照してください。

※1 下記を共に満たす場合、「必須」となります。

  1. 【自社マスタ設定】で「自動仕訳使用する」と設定している。
  2. [仕訳対象外]が非表示である、または表示されていても選択していない。
    ⇒選択している場合は、「固定経費」として仕訳されないので科目コードを入力する必要はありません。
  3. 原価・物販項目が「物販売上」「物販仕入」以外を選択している。